多発性硬化症
■多発性硬化症 目次
@多発性硬化症の概略  A症候と病体生理  B診断  C薬物療法   D経過と予後   E評価 F訓練  トップへ






A症候と病態生理

症候と病体生理

多発性硬化症は、身体の動き・バランス・感覚・知能・感情・内臓の動きや知覚など、大変広い範囲を支配する神経系の病気です。

この広い神経組織のどこが侵されるかは人によりさまざまで、症状はその侵される場所により決まります。病気の経過もまたさまざまです。欧米人と日本人とでも違いがあります。

 多発性硬化症の主要神経症状の出現頻度

視力障害    73%     運動失調  43% 知能障害    23%
(両側障害) (56%)     嚥下障害  18% 膀胱直腸障害   38%
運動麻痺    68%    構語障害  34% 痙 攣        18%
感覚障害    67%   眼 振   32%

 神経症状に先行する全身症状は約半数の例で認められており、頭痛、発熱などがみられる。しばしばみられる神経症状には次のようなものが挙げられる。

1. 視力障害

急性発症の視力障害がみられる。これは一側または両側の視神経や球後視神経炎によるもので、白や黒はよく見えても、赤、緑などの色覚が侵されることが多いといわれる。視神経炎や球後視神経炎が慢性化すると、視神経萎縮や耳側蒼白といった眼底所見を呈する。病変が進行して失明に至ることもあるが、一過性視力障害で治癒することもある。


2. 眼症状

内側縦束が侵される内側縦束症候群(MLF症候群、核間性眼筋麻痺)が有名である。両側のMLF症候群が若年者でみられた場合、多発性硬化症の疑いが強いといえる。動眼、外転、滑車脳神経の病変により複視を訴えたり、脳幹や小脳の障害で眼振をみたりすることもある。


3. 運動麻痺

皮質脊髄路の障害により運動麻痺をきたすが、痙性対麻痺の型をとることが多いようである。突然起こる場合や慢性に進行するものなどさまざまである。


4. 感覚障害

躯幹、下肢、顔面、上肢にしびれ感、冷感、異常知覚を訴える。深部知覚、痛覚、触覚、温度覚の順に侵されていく。特徴的なものとしてLhermitte徴候がある。これは頸部を前屈すると、背部や下肢あるいは手指に電撃様しびれ感を生じる現象で、頸髄の後索や後根の障害を意味する。


5. 運動失調

小脳が侵されて断綴性言語、失調性歩行、企図振戦、躯幹失調が起こる。


6. 膀胱直腸障害

尿失禁、頻尿、尿閉はよくみられるが、排便障害は少ないようである。


7. その他

有痛性強直性痙攣は多発性硬化症の特徴的症状である。これは急に手足を動かすと、肘と手首で屈曲し、中手・指節関節と近位指節間関節で伸展または屈曲する姿勢を生じ、疼痛を訴える現象をいう。1分以内に消失する。






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