身体障害の作業療法 筋力増強運動その2

身体障害の作業療法目次
身体障害の作業療法
身体障害に対しての治療と訓練
筋力増強運動〜その1
筋力増強運動〜その2
筋持久力運動〜その1
筋持久力運動〜その2
協調性運動〜その1
協調性運動〜その2
神経筋再教育〜その1
神経筋再教育〜その2
全身調整運動〜その1
全身調整運動〜その2
関節可動域運動伸張運動〜その1
関節可動域運動伸張運動〜その2
感覚・知覚再教育〜その1
感覚・知覚再教育〜その2



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筋力増強運動





作業療法での筋力増強運動

最大筋力の65パーセント以上の負荷を与えて筋収縮させることで、筋力は増強する。これは正常な神経筋機能が存在する場合の運動生理であり、このまま機能障害のある患者さんに適応させることはできない。

この原則を機能障害の治療に用いる場合に、最も注意するべき事は疲労を避けることであり、疲労を確認する為には、筋収縮を生み出す機構の中のどの部分に働きかけているかを常に意識しておく必要がある。

例えば、脳障害では、筋収縮に必要な数のmotor unit(脊髄前角)を同時に十分に活動させ得る興奮水準を脳に獲得させる事が目標となるが、強く筋収縮しようとする興奮伝達が途中で絶たれ、筋収縮力が不十分になるが、疲労は、患者自身に意識されず、筋収縮減弱、筋収縮力低下といった現象で確認される。


最大筋力の3分の2以上の負荷で筋収縮を行う為には、筋収縮(もしくは関節運動)に患者さんの注意を集中させる必要がある。負荷が大きくなればなるほど、増強したい筋以外の収縮が生じやすいからである。


よって、作業活動を用いて筋力増強運動を行うには、患者さんの注意が作業目的にはらわれたとしても、特定の筋群にのみ負荷を与えることができるよう、注意深い作業設定が必要となる。


作業活動を用いて筋力増強運動を行う場合、筋収縮回数と作業テンポと筋負荷量との関係を参考にすることが出来る。例えば、筋収縮を1秒間に1回のテンポで繰り返したとき、10回以内に筋収縮力低下(疲労)の現象が現れないならば、その負荷量は筋力増強運動としては小さすぎる。


この場合、負荷量が最大筋力の65パーセント以上になるよう、作業設定を変更する。機能障害としての筋力低下は、2〜3回目の筋収縮で疲労の現象(筋収縮力減弱)が現れることも多い。


「10回以内」は10回ではない。疲労を避け、しかも必要量の負荷を与えるには、触診、視診、その他で筋収縮を確認しながらの作業活動が不可欠である。


神経筋再教育では、賦活した筋の収縮力を、日常生活活動を遂行するために必要なレベルにまで増強する。

末梢神経障害では、筋力が十分に増強されれば、補助筋や拮抗筋との強調した運動が可能となり、脳が思い出せば(勘を取り戻せば)、動作の中でその筋を使える。


中枢神経障害では、特定の筋や筋群のみを収縮させることが困難であるから、筋力増強運動と同時に筋協調性運動を行い、関節運動や、筋収縮の強さや方向を随意的に調節できるように練習しながら、コントロールされた正しい筋収縮強化していく必要がある。


つまり、脳卒中による運動麻痺では、筋収縮の「力」だけを強化しても、動作で使える随意運動は獲得できない。





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