痴呆症について

■痴呆症 目次
@痴呆の概略 A痴呆のADLに関して  B辺縁症状に対する作業療法的アプローチの効果  C脳血管性痴呆 Dアルツハイマー型痴呆

E老年痴呆と脳血管性痴呆の鑑別  F脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆の作業特徴  トップへ

補足:現在は認知症に名称変更しています





B辺縁症状に対する作業療法的アプローチの効果

〈辺縁症状に対する作業療法的アプローチの効果〉

痴呆の辺縁症状の多くは、知的機能の低下をもとに出現する周囲への知的不適応の結果生じる。そのため作業療法的アプローチで知的不適応による困惑や不安等を軽減することができれば、改善することが期待できる。

1.徘徊

徘徊している患者は、明らかに徘徊する動機を持っていることが多い。つまり少なくとも徘徊しているということは、何かをやる気がある証拠である。そのやる気を評価し作業に向けることは意義があり、結果的には徘徊行為を他の行為に転嫁することができる。

2.昼夜逆転・夜間せん妄

これらの症状の多くでは、様々な理由で日中に覚醒度が落ちていることがある。日中に作業を行って覚醒度を高め、夜に寝てもらう習慣をつけることは、日内リズムの形成という意味から望ましい。

3.痴呆初期の意欲低下

特に病識のある脳血管痴呆の患者によくみられる。その根幹にあるものは、痴呆によって低下した自己の能力に対する不安である。患者の能力に応じた作業を行ってもらうことで不安が薄れ、他の作業に参加し始めた例がある。導入時の声かけの方法や作業内容の設定が大きなポイントとなる。

4.痴呆末期の自発性低下

アルツハイマー型痴呆など萎縮進行型の疾患では、末期に近づくほど自発性が低下する。知的機能の低下が意欲を生みだせないためである。放置しておけば、そのまま寝込んでしまい、いわゆる寝たきり状態になる患者も多い。そのため周囲の人々が自発性の低下を補っていく必要がある。その際には場(雰囲気)づくりが大きな要素となり、認知能力がかなり低下している患者が多いことから視覚・聴覚に刺激を与えやすい環境づくりが重要である。

5.興奮・攻撃性

自己表現がうまくいかないための破局反応(器質脳障害者が困難な課題を与えられた際に、それまで可能であった課題も行えなくなり、急に落ち着かなくなり、不安・易怒的となること)である。このため攻撃性を発散させる代償的作業を導入する。例えば、紙を破るような作業、あるいは体操や散歩のように体を動かすことも有効である。

6.妄想

妄想に向きがちな時間を作業によって埋めていく方法が有効なことがある。特になじみの作業をつくることができれば、それに専念している間は妄想を忘れていることもある。会話系作業は症状を悪化させることもあるので、その内容に留意する。





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